Reverse Pitch2021#6|リアル×デジタルのマーケティングを切り開く。中長期の視点、ブーストしていくパワーに期待

デジタル化が進み、印刷物の需要は年々大きく減りつつある。しかし、印刷物にはデジタルが取って代われない価値がある。大切なのは選択肢があり、そのデジタルとアナログ印刷物が用途に合わせて適切に使われること。リコーの主業のひとつである商業印刷の領域は、まさにそのシビアなフロントラインにあると言っていい。縮小する印刷市場の中で、どのような価値を提供し、どのように新たな道を築いていけばいいのか。印刷事業者の課題は、リコーの課題そのものでもある。
商業印刷機器を手掛けるRGC(リコーグラフィックコミュニケーションズ)の中で、新たなソリューション開発に取り組むデジタルサービスビジネスセンターが真正面から取り組むのはその課題だ。それだけにTRIBUS、スタートアップにかける期待は大きい。



RGC デジタルサービス事業センター 酒井文平


――RGC、および今回提案された酒井さんが所属するデジタルサービスビジネスセンターについて、現在のお仕事内容をお教えください。

RGCは印刷業や印刷でビジネスをされる方向けに、デジタル印刷機などの商品やソリューションを提供しています。オフィスの印刷と違うのは、商業印刷なので印刷したもの自体が販売される商品となること。そのため品質にシビアですし、紙の種類から色の管理まで要望も多岐にわたるので、それに合わせたものソリューションを提供することが大きな使命だと思っています。
私が所属するデジタルサービスビジネスセンターは、そういった印刷業のお客様が誰でも簡単に人手や時間を掛けずに印刷できるようにしたり、手軽に印刷フローを監視したりできるサービスやソリューションを企画し、開発している部署です。

――リバースピッチで提案された内容について、その背景も含め、改めてお教えください。

今回のリバースピッチでは「アナログ・デジタルマーケティング」を提案しましたが、その背景には消費者は自分が受け取る情報に価値を求め始めているということがあります。受け取る側からすれば、デジタルだろうがアナログの印刷物だろうが自分にとって有用な情報であれば欲しいわけです。デジタル化が進み、全体の印刷の量は減りつつありますが、ダイレクトメールなどの個人の嗜好に合わせた印刷物は需要が伸びているのがいい例だと思います。

私たちも印刷という手段に固執するのではなく、デジタル・アナログにとらわれず消費者が求める有用な情報の伝達手段を提供していかなければなりません。この考え方を受けて、私たちも印刷のもっと上流の部分のからビジネスを手がけようと取り組みを始めたのが最近の動きです。社長の山下がデジタルサービスの会社への転換を宣言したことで、その流れが加速しています。
上流の部分とは、弊社が印刷機器やサービスを提供する印刷業者様の顧客である企業様です。これを私たちはブランドオーナーと呼んでいます。私たちの直接の顧客である印刷業者様に新しい価値を提供するには、印刷業者様の顧客であるブランドオーナーに注目する必要があると考えました。

そもそも印刷は印刷することが目的ではなく、ブランドオーナーの商品やサービスを消費者に伝え、届けることが目的であったはずです。そこを掘り下げていくと、アナログとデジタルの境で、マーケティングに苦労されているブランドオーナーの姿が浮き彫りになりました。 ブランドオーナーのマーケティングは、アナログではダイレクトメール、試供品、カタログの頒布などがあり、デジタルではEmailやSNS、Webサイトの活用などがあります。
マーケティングの重要性は近年、着目されつつあり、その主となっているのはデジタルマーケティングです。その手軽さゆえに取り組みやすいからということなのですが、なかなか顧客の獲得につながらず、効果に不満があるという方も少なくありません。
アナログのマーケティングは、デジタルに比べ満足度は高いのですが、2つの大きな課題があり、1つは、デジタルのように届けたいと思ったときに、タイムリーかつスムーズに届けることができないこと。2つ目は効果測定がしづらいということです。

私たちはデジタル・アナログどちらか一方を排斥したいのではなく、それぞれのメリットを活かして、また、アナログのデメリットを補完するソリューションを提供することで、両方を適切に活用するマーケティングのソリューションを、ブランドオーナーに提供したいと考えました。それがひいては、私たちの直接の顧客である印刷業の事業の活性化になると考えています。

――どのようなスタートアップの方とご一緒したいとお考えでしょうか。

適切な言い方かどうかは分かりませんが、アナログマーケテイングの課題を補完する技術やソリューションをお持ちの方だと特にうれしいです。近年、デジタルマーケティング関連のソリューションを出しているさまざまなベンダーさんがいらっしゃいますが、アナログ面における課題を補完できるようなソリューションを開発しているところはまだまだ少ないと思います。先程申し上げたアナログの2つの課題「タイムリーに届ける」「効果測定ができる」に刺さる何かをお持ちのスタートアップの方が第1希望です。

第2希望としては、アナログ・デジタルマーケティングに関わらず消費者に刺さり、購買意欲を喚起できる技術やソリューションをお持ちのスタートアップさんがいらっしゃれば、何であれお話を伺ってみたいです。さらにもう少し広く考えると、「One to One」もキーワードになると思います。

今の時点で今後ターゲットにするブランドオーナーを決めてはいませんが、将来的には業種業態を絞り込んでいくことも考えています。例えば、アナログに費用を掛けても回収しやすい不動産や高級品、旅行製品などを取り扱っている業種です。ただ、そこに限定しているわけではありませんし、エントリーしてくれるスタートアップさんが減ってしまってもいけないので(笑)、あくまでも参考としてお考えください。

――どのような支援を提供できるのでしょうか。

お持ちいただいたアイデアや技術を、実際に私たちがイメージするソリューションの中で、どのようにブランドオーナーにご提供すればいいのかを、実際にやってみて、試行錯誤しながら商品化に結びつけていくというのがオーソドックスな形かと思います。TRIBUSでは、試験的にリコー社内で実施する手もありますが、私たちの場合は、外でやってみなければ本当に通用するかどうかは測れないと考えています。私たちのプロジェクトに乗せられれば乗せますし、モノによっては、別のプロジェクトとして立ち上げて取り組むことも大いにあり得ます。
来年中には何かしらの形で市場で具現化できるくらいのスピード感でご一緒できればと考えています。

――TRIBUS、スタートアップにどのような期待をお持ちでしょうか。

リコーという組織が大きい分、私たちで新しいことをやろうとしても、つい知っている範囲内でなんとかしよう、何かできることないかと探してしまって、なかなか広がりがないんです。外部の新しい人たちと一緒に取り組むことで、その幅を広げたいですね。

新しいプロジェクトこそ中長期的に、「こういう世界を実現したい」ということを示唆する視点が必要です。スタートアップさんの技術やアイデアは、長期的に取り組むためのエンジンになるのではと期待しています。

別の言い方をすると、スタートアップさんの技術やアイデアは、私たちのプロジェクトをブーストしてくれると期待しています。同じベクトルのその先を示して、さらに横にも展開していくような力を期待しています。

――エントリーを考えているスタートアップに向けて一言お願いします。

どうか、提案することを恐れずにエントリーしてください。アナログマーケティングの課題や印刷業の背景など申し上げましたが、それは私たちの視点で、たまたま知っていたからお話しできることがあっただけであって、そうじゃない部分にもヒントはたくさんあると思っています。ジャンルが違う、箸にも棒にもかからないなんて思わずに、ほんのちょっとでも可能性を感じるところがあったら、ぜひ応募していただきたいと思います。

リバースピッチの動画はこちら▼




Share This

Copy Link to Clipboard

Copy