今年のテーマは「出会いが変える 未来の選択肢」。「TRIBUS2025」統合ピッチレポート<Part 2>

Part2では、社外スタートアップ企業17社のピッチ内容をご紹介します。社外スタートアップ企業は、以下の11の事業領域+その他の領域に関連したビジネスアイデアの募集に応じた255社の中から書類審査、面接を経て選び抜かれた企業です。
- ビジネスコミュニケーションスキルを向上させるAIトレーニングシステム
- 物理情報データの活用によるワークプレイスの変革
- パブリックスペースにおけるドキュメント関連サービスの利便性向上
- オフィスワーカーがアプリケーションを瞬時に作れる世界の共創
- デジタル観光で新たな価値を創出
- プラスチック資源循環に向けた共創
- 中小企業の脱炭素経営への伴走支援を通じたカーボンニュートラル実現
- 中小企業の“人材”に関する課題解決に向けた事業共創
- 中小企業の情シス業務の改革に向けた共創
- AIカメラを用いて介護記録効率化の実現
- ワンストップで提供できる在宅医療サービス
いずれも自社とリコーグループが持つアセットを組み合わせることで、ビジネスのステップアップを目指しています。それぞれのピッチの概要を紹介していきます。
社外スタートアップ企業
※以下、事業概要/会社名/登壇者名の順
1. 150時間以上に及ぶ介護に関する手続きをワンストップで解決する「介護コンシェルジュサービス」
株式会社想ひ人 金子萌
2年ぶり2度目の挑戦となる金子氏は、冒頭で一枚の写真を見せながら前回の挑戦を振り返り、 「非採択となった2年前の帰り道、あまりにも落ち込んで前を見ずに歩いていたら、階段から足を踏み外して骨折しました。」 と語り、審査員の笑いと驚きを誘いながら発表を始めました。
金子氏が代表を務める株式会社想ひ人は、介護に関する「150時間以上」もかかるといわれる手続きをワンストップで解決する「介護コンシェルジュサービス」を提供しています。 今回は、法人向けサービスの拡充とケアラー支援者の業務効率化を目的に再挑戦しました。
介護の現場では、まず最初に相談窓口となる「地域包括支援センター」が全国に5,000か所以上設置されていますが、この10年間で相談件数は約1.5倍に増加。 その一方で、半数以上のセンターで職員が不足しており、現場は深刻な逼迫状況にあるといいます。
実際に一部の自治体からは「助けてほしい」という要請も寄せられていますが、多くのセンターでは1人1台のパソコンもないほどアナログな環境。 そこで金子氏は、リコーの持つアセットを活用し、アナログとデジタルを融合した業務効率化の実現を目指しています。
発表の最後に金子氏は 「私たちも多くのアセットを持っていますが、私たちだけでは叶いません。リコー様だからこそ、アナログの現場とデジタルを融合させて効率化ができる。そこに大きな可能性を感じています。ぜひお力を貸していただけると幸いです。」 と強い思いを語り、発表を終えました。
2. 大企業に埋没した技術を「ゲンセキ」が発見し事業化に
ゲンセキ 堅田健太
堅田氏は、コンサルティングファームで培った大企業向けの事業開発経験をもとに、大企業の社内アセットを活かした新規事業創出に挑戦しています。 そのなかで強く感じた課題が、社内に眠る技術が埋没してしまう現状でした。 実際、事業化されなかった技術のうち63%がそのまま消滅しており、これは極めて大きな機会損失だといいます。
背景には、技術が「伝わりにくい」「理解されにくい」、そして「シーズとニーズが結びつきにくい」という構造的な問題があります。 特に大企業ではこの傾向が顕著で、組織の規模や縦割り構造がその難しさをさらに増幅させています。
近年、産業全体のスピードは急速に上がり、異分野技術の融合が不可欠な時代に入りました。 従来の日本企業が得意としてきた“すり合わせ”だけでは対応しきれない状況です。
こうした課題を解決するために堅田氏が開発しているのが、社内ドキュメントを集約し、 「伝わるレポート」や「事業アイデア」へ即座に変換できるツール『ゲンセキ』です。
すでに大手メーカー8社でトライアルを実施しており、そのうちの1社がリコーでした。 今回の提案では、これまでに得られた知見を踏まえ、実際のシステム構築とユーザビリティ検証、 リコーのドキュメント処理・AI技術との連携を進める計画です。
「御社と“真のオープンイノベーション”を実現したいと考えています。」と語り、発表を終えました。
3. ロボット触診で作る観客を熱狂させる世界
タグル株式会社 遠藤洋道
タグル株式会社の代表遠藤氏は、 「弊社はこのスポーツを通して、人を愛し、国を愛し、勤めを愛していく事業を、リコー様と一緒にやりたいと考えております。」 という言葉でプレゼンテーションを始めました。
同社が手がけるのは、生体の力学特性を定量的に計測・解析する技術を活用した、 アスリート向けの怪我リスク予兆把握サービス・コンディション可視化です。
大阪大学大学院基礎工学研究科における生体軟組織の力学特性をセンシングし、 情報処理によって数値化する研究成果を基盤とし、 これをスポーツ現場における身体ケアやコンディション管理に応用する実証実験を行っています。
タグルが目指すのは、「最高のパフォーマンスで観客を熱狂させる世界」。
そのために立ちはだかる最大の敵が“怪我”です。 怪我は選手本人のキャリアだけでなく、チーム、ファン、スポンサー企業にまで影響を及ぼし、 スポーツの奇跡と熱狂を奪う負の連鎖を生み出すといいます。
ロボット触診は、選手自身が短時間でセルフ計測できる点が特長で、 すでに海外特許も出願中。
今後は、さらなる実証実験を進めるためにリコーブラックラムズとの共創を目指しており、 データ分析やプロダクト標準化の推進を掲げています。
また、同社は海外展開も視野に入れており、そのためのサポートもリコーに期待しています。
最後に遠藤氏はこの目標をリコーと共に実現したい想いを語り、締めくくりました。
4. 「旅アトリーチ」×「ARGS」でハイブリットな観光情報発信
ソーシャルアイディー株式会社 小沢 一世
小沢氏は「リコーとのサービス連携による新しい観光ソリューションの提案」と題して発表を始めました。
SNS上には、観光客や地元住民による良質な口コミ投稿が数多く存在し、 インバウンド旅行客も含め、SNS上では日々多くの観光コンテンツがシェアされています。 小沢氏はこれらを「非常に価値の高い口コミデータ」と位置づけました。
しかし現状では、企業や自治体がこうしたSNS投稿をビジネス活用しようとすると、 利用者本人の許可取得や検索の手間などのハードルが高く、十分に活用されていないといいます。
この課題を解決すべく、小沢氏が代表を務めるソーシャルアイディー株式会社では、 SNSから大量の投稿データを収集・選別・許可取得まで行い、利用可能なコンテンツとして整理。 そのうえで、企業や自治体のWEBサイトやアプリへ定期的に配信するという仕組みを構築しました。
これにより、地方自治体や地域事業者がSNS上の良質な口コミを手軽にビジネス活用でき、 持続的な集客を実現しています。
今回はこの自社サービス「旅アトリーチ」を、リコーの観光DXプラットフォーム「ARGS」に 組み込むアイデアで応募しました。
これにより、公式情報と口コミ情報をハイブリッドに発信でき、 周辺観光スポットの魅力をリアルかつ効果的に届けることが可能になります。 また、自治体の業務負担を最小化しながら、インバウンド向け展開にも対応できるとしています。
すでに両サービスの技術的な連携検証は完了しており、 採択後には期間中に導入事例を創出する計画であると述べ、 「必ず実現します」と力強く宣言して発表を締めくくりました。
5. 市村自然塾の第8期卒塾生が作る新しい旅行体験
株式会社Plaru 各務 泰生
冒頭、「リコー社がNPO法人として運営されております市村自然塾の第8期卒塾生です」と、 リコーとの意外なつながりを明かして審査員を驚かせたのは各務氏。
大学時代に旅の魅力に目覚め、47都道府県をすべて制覇。 その後、新卒でNTT東日本に入社し、観光を含む様々な新規事業に携わるなど、 多様な経験を積んできました。 こうした経験を通して見えてきた課題をもとに、 現在のサービスを立ち上げたといいます。
各務氏がCOOを務める株式会社Plaruが提供するのは、 AI旅行計画アプリ「ぷらる」。 観光ルートを自動生成し、 旅行者一人ひとりに最適な旅のプランを提案するアプリです。
今回の提案では、Plaruの提供するAI旅行計画アプリ「ぷらる」と、 リコーのデジタルガイドマップ「ARGS」との共創を通じて、 サービスの実用化を目指します。
具体的には「ぷらる」で生成されたルート提案によって訪問を促し、 それを「ARGS」と連携することで音声ガイドを含めて提供することで、 ツアー添乗員付きの旅行パッケージツアーを代替するような サービスの共創に向けて取り組みます。
また、「ぷらる」アプリは質の高いデータを取得できることも特徴です。 ウェブサービスでは取得が難しい、 旅行者のデータ(属性・思考・行動データ)を取得・活用できるため、 「ARGS」の音声ガイドと組み合わせ、 高度なデータ分析および効果検証ツールの提供も目指します。
採択後の計画としては、機能連携・実証開拓・データ分析を 本プログラムで進めます。 特に、実証開拓では既に導入意向を受領している地域もあり、 具体的な実装を見据えます。 (2025年12月時点で観光庁の補助事業に採択済みです)
最終的には自治体や企業向けの事業展開に加え、 ToC向けのガイド事業を通じた新たな収益機会の創出を目指すと述べ、 発表を締めくくりました。
6. AIの危険から包んで守るガバナンス技術
カサナレ株式会社 安田 喬一
安田氏は卵のデザインのロゴを示しながら、 「AIそのものを作っているのではなく、その周辺を支える オペレーティングシステムを作っている会社です。 卵でいうと黄色い部分がLLMなら、 私たちは白い部分のような存在です」 と語り、カサナレ株式会社の立ち位置を表現しました。
同社は、「生成AIに食わせる“第1想起ソリューション”を 共に作り上げたい」と、リコーとの協業提案を行いました。
安田氏によると、現在の生成AIには 権限管理の脆弱性という深刻な課題があるといいます。
たとえば、来期の昇進候補者がAIに質問した際に 未発表の人事情報が出てしまったり、 「チームの評価は?」と尋ねると 同僚や上司の給与情報が流出するといった、 AIが“一瞬で壊す権限の壁”が問題視されているそうです。
AIエージェントを社内で多用すればするほど、 組織の情報の壁が崩れ、 やがては「ガバナンス爆弾」とも呼ばれる リスクを抱えるようになります。
カサナレ株式会社は、こうした課題に対して “技術的ガバナンス”を安全装置として提供する企業です。 複数の既存プロダクトで実装・運用実績を持ち、 その効果が証明されています。
今回の共創提案では、リコーの持つスキャン技術や AI・OCR技術と組み合わせ、 その上にカサナレのガバナンス技術を重ねることで、 リコー自身には生成AIを活用した業務改革の推進を、 さらにリコーのプロダクトを利用する顧客には、 付加価値向上・顧客満足度向上・LTVの最大化を もたらすとしています。
最後に安田氏は、 「私たちはこれを基に、今後エンタープライズ市場の中で 大きな売上を上げていきたいと思っています。 ぜひご一緒できればと思います。よろしくお願いします。」 と力強く語り、発表を締めくくりました。
7. 現僧侶が提供する忌引き支援サービス
Waterhuman株式会社 中川 尚哉
Waterhuman株式会社が提供するのは、 従業員の家族が亡くなった際に発生する さまざまな死後の手続きを支援するサービスです。
代表の新谷氏は起業家であると同時に僧侶でもあり、 発表者の中川氏は宅地建物取引士や相続診断士などの資格を保有し、 これらの資格をもとにサービスの運用を行っています。
忌引休暇は多くの企業で数日から1週間程度取得できますが、 遺族はその期間中に60時間以上の手続きを行う必要があり、 相続なども含めると150〜500時間程度に達するといわれています。
これは心身ともに非常に大きな負担となり、 データとしても死別から1年間で遺族の健康状態は30%、 生産性は40%低下すると報告されています。
また、忌引きを取る本人だけでなく、 突然の休暇に対応する現場にも影響があります。 特に現場依存度の高い業界や属人性の高い中小企業では、 その影響がより大きくなります。
さらに、年間の死亡者数は増加傾向にあり、 2035〜2040年にピークを迎えるとされています。
こうした背景から、Waterhuman株式会社は リコーの「ビジネスアドバイザリーサービス」を通じて、 自社サービスの提供を目指し、今回応募しました。
中川氏は、 「家族の不幸という人生の重大局面で、 会社が手厚くサポートしてくれることは、 従業員の安心感を高め、定着率の向上や 採用広報の強化にもつながる。」 と語ります。
また、無料で導入でき、コスト削減にもつながる点も 中小企業にとって大きなメリットだと強調しました。
最後に中川氏は、 「多くの中小企業と接点を持つリコーグループと共に この課題に挑み、新しい共存の形を広げていきたい。」 と締めくくりました。
8. KUROFUNEが日本を開国、定着にコミットした特定技能労働者サービス
KUROFUNE株式会社 片倉 稜
実はこの2年間で外国人労働者は50万人増加しており、 直近1年間でも25万人の増加が見られます。 この傾向は今後も続くと予想されています。
外国人労働者は日本に来て生活や仕事の面で多くの困難に直面し、 同時に受け入れる企業側も外国人雇用に関して さまざまな課題を抱えています。
KUROFUNE株式会社は、そうした双方の悩みを同時に解決し、 日本を“開国”する黒船のような存在を目指すという想いのもと、 ビジネスを展開しています。
同社は人材採用と定着支援を行っており、 特に転職率が高いとされる「特定技能」人材に特化して サービスを展開しています。
現在、特定技能労働者は1日あたり約300人、 1か月で1万人規模で増加しています。 しかし、企業が特定技能人材を雇用するには 複数の登録支援業務を行う必要があり、 自社で対応できないため、 登録支援機関に月3万円程度で外注しています。
一方で、特定技能人材は転職が可能なため 定着率が低いという課題があり、 この点が大きな問題となっています。
今回のプログラムには販路拡大の支援を目的に応募したとのことですが、 KUROFUNE株式会社は「販路拡大だけでは面白くない」とし、 業界ごとの課題に合わせてカスタマイズ可能なアプリを開発し、 新しいサービスを生み出すことを目指していると語りました。
プログラムを通じて、実証実験を行いながら 新たなサービスを創出していきたいとしています。
最後に倉片氏は、 「私たちは定着にコミットしたいと考えています。 そのため人材紹介料金は現在0円で行っています。 人手不足に悩む企業の皆さまをしっかりサポートしていきたいと思っています。 ぜひよろしくお願いいたします。」 と述べ、発表を締めくくりました。
9. 中小企業と正規雇用を目指す女性とのマッチングで目指す「L字カーブ」問題の解消
Flora株式会社 髙田 涼太
Flora株式会社は、創業5年目となるフェムテック領域のスタートアップです。 メンバーはヨーロッパと日本人が半々で構成される、 グローバルな組織です。
同社が提供するアプリはすでに30万ダウンロードを突破しており、 大手企業向けのサービス導入実績も100社以上に達しています。 現在は日本・インド・ベトナムの3か国で展開しています。
今回、リコーと共に取り組みたいと考える社会課題は、 いわゆる「L字カーブ」問題です。
これは、20代で正規雇用として貴重な経験やスキルを積んでいた女性が、 結婚や妊娠をきっかけに仕事との両立が難しくなり、 非正規雇用へと転換せざるを得ない実態を指す言葉です。
現在、非正規雇用で働く女性は約1,000万人以上とされ、 そのうち約4割(約600万人)が 「本来は正規雇用で働きたい」という意志を持っていることが わかっています。
Flora株式会社の提案は、 こうした正規雇用を望む女性と、 人手不足に悩む中小企業をマッチングさせることで、 人材不足の是正を目指すというものです。
しかし現状では、 非正規雇用の女性人材に対するマッチングサービスは 能力に基づいたマッチングが十分に機能していないのが実情です。 また、現状のまま中小企業とマッチングを行うと、 ジェンダー意識や柔軟な勤務形態の整備不足により、 双方にハレーションが生じる可能性があります。
そこで同社は、 女性が働きやすい職場環境づくりを支援しながら 採用をサポートすることで、 効果を最大化したいと考えています。
すでに大企業100社以上に導入されている 自社のSaaSサービスを中小企業向けにアジャストし、 より広い層への展開を目指します。
今後は、リコーが持つ中小企業とのネットワークを活用し、 実証検証を進めることを計画しています。
熱意を込めた発表は制限時間を超えるほどで、 タイムアップにより惜しまれつつ終了となりました。
10. 脱炭素化と経済性の両立を実現するEVの導入支援
eMotionFleet株式会社 白木 秀司
eMotionFleet株式会社は、 2万3,000台以上の商用EV導入経験を持つ創業者が 立ち上げたスタートアップです。
同社のミッションは、 EVの導入・運用を通じて事業者の課題を解決し、 脱炭素化と経済性の両立を実現することにあります。
現在は大手を中心に導入が進んでいますが、 業界の約98%を占める中小事業者では 「どこから始めればよいか分からない」 「CO₂削減だけでは導入の動機にならない」 といった課題が多く、 経済性や稼働効率、現場負担の軽減といった 実務的な解決策が求められています。
同社はリコーとともに、 中小事業者向けのモビリティDX/GX支援サービス立ち上げを 目指して応募しました。 対象は物流・バス・タクシー・公用車など 「はたらく車」を運行する事業者です。
内燃車両にクラウド型車載器を装着し、 低炭素化の取り組みを推進し、 EV導入に向けては営業所単位で導入計画を立て、 充電インフラの選定から設置までを支援。 さらに自社ソフトで稼働を止めない運行管理や 電力コスト抑制を実現します。
採択された暁には、 リコーが展開するEV充電器サービスやエネルギー事業と組み合わせ、 商材・ハード・サービスの拡張による付加価値向上と 新規顧客開拓を図ります。
まずはリコー社用車にクラウド型車載器を装着し、 安全運転強化、エコドライブ促進、稼働分析、 CO2排出量の測定、EV導入シミュレーション等を行い、 その成果をもとに共同営業を展開。 将来的には車・充電器・サービス・エネルギーを 月額リース化したパッケージ開発も視野に入れています。
最後に白木氏は、 「リコー様は弊社にとってベンチマーク企業。 ともに中小事業者支援の先陣を切る取り組みを進めていきたい」 と熱意を込めて締めくくりました。
11. リコーのハンディセンサーと目指す複合プラスチックリサイクル社会
株式会社esa 米久保 秀明
株式会社esaは、マテリアルリサイクルによってプラスチック原料を製造する企業で、 「RePla」という商標で事業を展開しています。
世界的にプラスチック廃棄量は増加の一途をたどっており、 その多くがリサイクルされていません。 日本は一人当たりのプラスチック廃棄量が世界第2位で、 主な処理方法は国際的に推奨されない焼却型の「サーマルリサイクル」です。
その背景には、リサイクルが難しい「複合プラスチック」の存在があります。 esaはここに着目し、複合プラスチックをリサイクルする独自技術を開発。 これにより、CO₂削減だけでなく廃棄量そのものの削減、 新たな事業機会の創出を目指しています。
同社は、これまで焼却されていた複合プラスチックを回収し、 再利用可能なペレット素材へと再生。 今後は生産拠点の新設や海外展開、クレジット化、 コンサルティングなどを通じて事業拡大を計画しています。
一方で、排出企業やリサイクラーが複合プラスチックを 「扱いづらい素材」として廃棄してしまう現状があり、 esaにとっては素材確保や安定供給が難しいという課題があります。
この課題を解決するため、リコーとの共創では 「複合循環に向けたコンサルティングサービスの構築(TOC)」を提案。 リコーの工場や顧客にハンディセンサーを貸与し、 複合プラスチックの種類データを収集・分析して フィードバックする仕組みを構築します。
将来的には、複合プラスチック専用の循環プラットフォームを形成し、 リコーと共に持続可能なリサイクルの新しい形を作りたいと語り、 発表を締めくくりました。
12. セキュリティ担当者を大量のWord、Excelから解放
SecureNavi株式会社 井崎 友博
「リコー様との打ち合わせでは、毎回冒頭に 『はたらくに歓びを』と書かれたスライドをご説明いただき、 その度に強く心に残りました。 本日は、私たちからも多くのお客様に “はたらくに歓び”を提供できるご提案をお伝えしたいと思います。」
そんな印象的なエピソードから、 SecureNavi株式会社の発表は始まりました。
SecureNaviは情報セキュリティ領域のスタートアップです。 業界最大の社会課題は「人材不足」で、 日本企業の約90%が セキュリティ人材が足りていないと回答しています。
この不足を補う形でセキュリティコンサル業界は活況ですが、 リスクアセスメントや規程作成といったサービスは非常に高額で、 中小企業には導入が難しい状況です。
そこで同社は、従来コンサルが提供してきたサービスを SaaSの機能として提供。 コストを抑えられるだけでなく、 最大のメリットは 「WordやExcelの膨大な資料運用がなくなる」点です。
すでに1,100社以上が有償利用しており、 解約率は月次1%未満と 高い継続率を誇ります。
さらに来年、経済産業省による サプライチェーンのセキュリティレベル格付け制度が始まります。 製造業、IT、金融、建設など数十万社の企業が対象となり、 セキュリティレベルが星の数でランク付けされます。
同社はこの制度に対応した 利便性の高いプラットフォームを SaaSとAIで構築予定ですが、 一部必要なソリューションが不足しているといいます。
特に審査基準の一つである「資産管理」について、 同社単独では機能が不足しており、 リコーが提供するIT資産管理サービスとの連携を実現したいと、 今回の場で協業を提案しました。
「この連携が実現すれば、 またひとつWord/Excelファイルが減ります」 と語り、最後に次のように締めくくりました。
「大量のWord・Excelからセキュリティ担当者を解放し、 より創造的な仕事へ導く。 それこそが、私たちが提供したい“はたらく喜び”です。 リコー様と共に、セキュリティ業界の社会課題を 解決していきたいと考えています。」
13. 複合機をパブリックスペースのインターフェースへ
コインスペース株式会社 栗原 知也
栗原氏は 「コインスペース株式会社は10年目を迎えたが、 リコーの複合機 IMC3000 と共に成長できた」 と語り、胸元に IMC3000 の写真をつけて登壇し、 審査員の笑いを誘いました。
提案は 「複合機をパブリックスペースのインターフェースへ」 「リコーとコインスペースが作り出すワークプレイス」 というテーマで進められました。
コインスペースは “カフェに代わる超集中スペース”として、 仕事・勉強など幅広い目的で利用されています。 会員登録なしでも利用できますが、 実際には9割が登録し、 登録者は約15万人。 現在は約50カ所を展開しています。
これまで“場所貸し”の側面が強かったものの、 今後はユーザー・オーナー双方に選ばれる存在を目指し、 “個人 × 集中”領域へ拡大したいとしています。
栗原氏は「最近複合機を使いましたか?」と問いかけ、 利用機会は減っているが、 業種・場所によっては依然活用されていると指摘。 そのうえで、複合機を “価値創造のハブ”と捉え、 新たな価値創出の可能性を語りました。
今回の共創アイデアは、 ビジネス・学習・観光をパッケージ化し 全国展開する構想です。 教材出力、学習進捗の可視化、 多言語観光マップの印刷、 スタンプラリー・御朱印帳の出力など 幅広い活用を提案しました。
検証期間では、 ユーザー・スペースオーナー双方の検証を進め、 ユーザーへのヒアリングを重ねながら 実際の店舗展開を目指したいと締めくくられました。
14. 防犯カメラ映像を活用した異常検知AI・動向分析AIでの自動インシデント報告
株式会社OptFit 渡邉 昂希
株式会社OptFitは、防犯カメラ映像を活用した 異常検知AI・動向分析AIを低価格で提供し、 “人に頼らない施設運営”の実現を目指しています。
今回のTRIBUSでは 「AIカメラを用いた介護施設の効率化」 というテーマで応募したと話します。
同社の出発点は介護ではなく、 フィットネスジムの無人化支援です。 現在までに2100施設以上に導入され、 運用6期目に入っています。
これらのノウハウを活かし、 約1年前から介護施設向けの インシデント早期発見ソリューションを提供開始。 すでに6カ月で30施設で 有償PoCを実施済みです。
今回の検証では、 インシデント発生時の “記録自動化”を目指しています。 将来的には日常介助や 食事中の誤嚥などにも応用したいと語りました。
最後に、 リコーの豊富なアセットとの連携により、 無人化・省人化、生産性向上、 データドリブンな運営に貢献したいと述べ、 発表を締めくくりました。
15. マルチカメラトラッキングで介護自動記録
株式会社Sportip 高久 侑也
株式会社Sportipは、 筑波大学発ベンチャーとして 「マルチカメラトラッキングで介護自動記録」 をテーマに発表しました。
現在は介護施設を中心に 1000店舗以上に導入され、 1000万件以上のデータを保有しています。
今回はこの技術を介護領域に応用し、 行動ログを自動生成する仕組みを提案。 食事・入浴・排泄・歩行などを 自動記録することを目指します。
リコー社員の知見も取り入れながら、 記録精度の高いプロダクトを 共に作りたいと語り、 発表を締めくくりました。
16. 誤嚥リスク管理サービス「GOKURI」
PLIMES株式会社 下柿元 智也
PLIMES株式会社は、 誤嚥性肺炎や食事に関する課題解決を目指し、 誤嚥リスク管理サービス「GOKURI」を開発しています。
首に装着する小型デバイスで 生体音を取得・解析し、 遠隔での評価・記録・レポートを可能にしています。
リコーとの共創により、 記録とデータを一気通貫で管理できる 仕組みを実現したいと語り、 発表を締めくくりました。
17. 待ちの医療から攻めの医療へ
株式会社シェアメディカル 峯 啓真
株式会社シェアメディカルは、 在宅医療とオンライン診療を掛け合わせた 次世代オンライン診療での共創を目指し登壇しました。
医療用チャットサービス 「メディラインワークプレイス」は、 すでに17施設・6000名が利用しています。
リコーとの協業により、 予約から支払い、問診、検査まで シームレスに完結する オンライン診療モデルを目指します。
最大の強みである社会実装力を武器に、 医療MaaSや遠隔看取りサービスまで含めた 展開構想を語り、 発表を終了しました。
結果発表・講評
スタートアップ17社のうち、 Investors Dayに進むのは次の8社です。
- ソーシャル・アイディー株式会社
- カサナレ株式会社
- eMotionFleet株式会社
- 株式会社esa
- SecureNavi株式会社
- コインスペース株式会社
- 株式会社Sportip
- PLIMES株式会社
株式会社リコー取締役会長の山下良則氏は、 「儲ける経営と儲かる経営」という言葉を紹介し、 価値を届け続けることの重要性を語りました。
統合ピッチを通過した社内4チーム、 スタートアップ8社は、 2026年2月2日まで 実証実験とブラッシュアップを行っていきます。
ぜひその結果をお見逃しなくご覧ください