Reverse Pitch2021#4|ピンチはチャンス。社会全体をボトムから変える働き方の提案を

「OAメーカーからデジタルサービスの会社への転換」が宣言されたものの、複合機、プリンターの事業がリコーという会社の主力事業の大きな一角を占めていることに変わりはない。こうした従来の提供価値が根付いていることは、デジタルサービスの会社への進化にむけて、新たな発想を無意識に狭めてしまうのではという見方もあるが、デバイス製造を担うRDP(リコーデジタルプロダクツビジネスユニット) WE事業部のリバースピッチからは、そんなことは微塵も感じられない。むしろデバイス、ハードウェアがあることを生かしたデジタルサービスにこそ可能性があるという。コロナ禍による環境変化、ペーパーレス化など、一見逆風に見える中にこそ勝機がある。WE事業部が目指す未来像、スタートアップと協業したい領域について聞いた。



リコーデジタルプロダクツBU WE事業部 麻生貴宏


――WE事業部の事業内容、現在取り組んでいる内容についてお教えください。

「WE」は「Workplace Edge」の略で、主に複合機・プリンターを開発しています。特に現在は、A3機(A3サイズまでプリント可能な複合機)からA4機(A4サイズまでプリント可能な小型の複合機)に置き換える動きが欧州を中心に増えているため、A4機の強化に取り組んでいます。

もうひとつは、OAメーカーからデジタルサービスの会社に転換することが宣言されたことを受けて、複合機本体だけでなく、連携するデジタルソリューションをセットにして、お客さんのワークフローに刺さるような形で提供することです。
コロナ禍で大きく変わった働き方に対応する流れは、その分かりやすい例のひとつと言えます。在宅ワークとなり、働く場所がオフィスからホーム、またはパブリックに変わった。セキュリティが厳しい欧米では、プリンターを1人1台社員に配布して、在宅環境で印刷できるようにしていますが、その時に、IT管理者が、機器を管理・メンテナンスしやすい環境を作る必要がある。私たちが取り組んでいるのもそうした内容です。2020年5月には、VPN端末をセットにした在宅ワーク用プリンター(在宅プリントパック)を開発、販売しました。国内よりも海外の方にニーズがあります。

もともと、オフィスの複合機・プリンターというジャンルは環境変化も少なく、コモディティ化し、新しいことをやる余地があまりなかったんです。しかし、コロナ禍で働き方が変わり、大きな環境変化が起きて、たくさんの“不足”が生じるようになった。私たちが取り組むべきはそこかと思います。

――リバースピッチで提案した内容について、背景も含め改めてお教えください。

今まで我々は働く人向けの機器を開発してきましたが、働く場所の変化にマッチした提供方法に変えなきゃいけないというのが、リバースピッチでお伝えしたかったことです。大きな環境変化をチャンスと捉え、ソリューションを開発販売しなければならないのはどこでも同じかと思いますが、大企業だと品質水準や既存の仕組みがしっかり固まっているがゆえに、スピード感に欠けるのが残念なところ。TRIBUSに期待するのはそこで、スタートアップの皆さんとご一緒することでスピード感を持って進められるようにしたいと考えています。

リコーも大企業体質のようなところがまだ少しあって、現場から新しいことをやるのはそう簡単ではありません。TRIBUSのような仕組みを後ろ盾にして、何か新しいことにチャレンジしたいという思いもあります。
リバースピッチで挙げた例のように、ペーパーレス化が進む一方で、紙が依然として求められている現状があり、安全性と効率を両立することが求められています。また、在宅ワークにおけるプリント管理、メンテナンス、利用料の精算など、細かな課題は数多くあります。

こうした課題に対して、提供できるものを増やしたいと考えています。例えば、在宅プリンターの利用プランが、スマホの料金プランのように、いろいろなタイプがあって状況に合わせて選べたり、変更できたりするのが望ましい。管理システム、メンテナンスの体制も同様に、お客さんが選べる選択肢をもっと増やしたい。また、ソフトウェア開発も、リコー製品だけでなくていいと思っています。例えばリコーにはないシュレッダーも同時に管理するようなソフトでもいいじゃないですか。TRIBUSでは、そういったことにも期待しています。

もちろん、スタートアップならではの視点、アイデアにも期待しています。新しい事業、製品のアイデアを考える時に、オフィスの中で仕事をしていると発想力に限界を感じます。また、現場のマーケティングから上がってくる情報は、すでに他の会社がやっているキャッチアップニーズの場合が多いです。もしくは、直近の「今」必要なもの(顕在ニーズ)に限られてしまう。少し先のニーズを予測し市場で勝てる製品を作るのは難しいんです。

――スタートアップの皆さんに期待していることは何でしょうか。

スピード感と、我々にはない視点。特に、「現在」に縛られることなく、将来を見据えて、そこからバックキャストして考え、10年後にこれが必要だから、5年後にはこう、3年後までにはこうなっておく必要がある、という考え方ができる人。
どんな未来、将来像を見据えている人がいいのか。個人的には、やはり働く人が知的創造力を発揮でき、仕事を通して自己実現できるワークスタイル、暮らし方の実現です。
そして、これは単にワークスタイルだけの問題ではないと思うんです。例えばワーケーションがもっと盛んになればいいなと思いますが、家族でワーケーションするならば、当然子どもの学校や教育の問題が出てきますよね。遠隔で教育が受けられるとか、ワーケーション先の学校で学ぶことができるとか、そういったことも必要になる。つまり、働き方が変わるには、世の中がセットでそういう方向に変わらないといけないと思います。

そういう意味で、RDPとして製品・ソフトを開発する部門ではあるんですが、それだけでなく、幅広い領域のスタートアップさんとご一緒したいです。在宅プリンターのメンテナンスで考えたら、IT管理者が使うソフトだけでなくて、当然印刷用の紙を補充するための物理的なシステムも必要になるでしょう。使い終わった紙を自宅で安全に破棄するための、環境に配慮した仕組みも必要となるのではないでしょうか。また、今、飲食店や食堂などの空き時間をオフィスとしてレンタルするサービスがありますが、その空間をオフィスとして利用するための什器やデバイスを考えるという仕事もターゲットに入ってきます。
私としては、あまり絞り込みすぎたくなくて、この方向で幅広い方にエントリーしてほしいと考えています。

――そうは言っても幅が広すぎるとエントリーも難しいかもしれません。どんな点にフォーカスして考えたら良いでしょうか。

フォーカスするなら、キーワードは「ホーム」と「パブリック」。さらに細かくブレイクダウンすると、在宅プリントにおける種々の課題。例えば、プリントの管理、メンテナンス、精算のシステム。セキュリティに関しては、日本人は「危ないものには近寄らない」という発想が強くて、従来の仕事のスタイルを変えず効率を犠牲にして安全性を取る文化が根強いため、効率とセキュリティの両立も課題の一つですね。あと、適切なニーズとコストのバランスを取ることも重要です。

また、在宅ワークである意味パーソナライズが進むわけですが、そのレベルを切り分けて管理とパーソナライズのバランスを取ることも重要です。選択肢を増やしたいと言いましたが、可変性を高めることで、選べるものを増やすことも重要かと思います。

――エントリーを考えるスタートアップの皆さんに一言お願いします。

我々はハードウェアと連携したソフト、ソリューションを開発していますが、「ハードがある」ということは他とは異なる強みだと考えています。世の中にたくさんのソフトベンダーがありますが、やはりソフトだけでは勝ち抜くのは難しさがあると思います。デバイスをキーにして一緒に考えませんか。また、コロナ禍による環境変化やペーパーレス化も、ピンチではなくチャンスだと思います。とにかく、入り口は絞り込みたくないので、キーワードに少しでも関わるところがあるようでしたら、ぜひエントリーお待ちしております。

リバースピッチの動画はこちら▼




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