ギネス世界記録™達成!「PENTA-X」で前人未到の挑戦
何がダメだったのか。挫折を経て達成した「ギネス世界記録」挑戦の軌跡

2022年3月5日、TRIBUSコミュニティから集まった有志の技術者を中心にしたリコー制作陣は、リコーグループのものづくり拠点である神奈川県海老名市リコーテクノロジーセンターにてギネス世界記録「一分間に最も多くロボットが縄跳びを跳んだ回数」に挑戦しました。悔しさをかみしめた「魔改造の夜」を経て、制作陣が感じた思いとは。今回はその中心メンバーでもあった緑川 瑠樹、亀井 謙二の両名に、番組終了後からギネス世界記録への挑戦まで、お話を伺いました。

※2022年3月リコー社内報より転載

自信作が、挑戦企画でのまさかの結果に

2022年1月29日、リコー制作陣はNHK BSプレミアム「魔改造の夜」にて、出場3社それぞれが開発した5体のペンギンを搭載したマシンの1分間の跳躍回数を競う「ペンギンちゃん大縄跳び」企画に挑戦しました。リコーのマシンの名称は「PENTA-X(ペンタエックス)」。しかし、本番での跳躍は17回のみと、期待された力を発揮できず、残念な結果になりました。当番組に至るまでには、15名の有志メンバーがおよそ40日間をかけて、日夜業務終了後から深夜までマシン開発に奮闘。「限られた時間でやれることはやった」(緑川)なかで作り上げたどのチームにも負けないという自信作を送り出した自負があっただけに、チームの落胆も大きいものでした。


「後悔したくない」その想いで無我夢中で開発した

何が原因だったのか。技術者としての意地をかけて、ギネス世界記録への挑戦

そんな制作陣に転機が訪れたのは2021年12月中旬のこと。番組撮影後二週間ほど「あの時にこうしておけば…」と悶々と考えていた緑川は、番組終了後に制作メンバーと集まった際に、みんなが同じ気持ちを抱えていたことを知ります。そんななかでメンバーの一人、北川 岳寿から飛び出したのが、「ギネス世界記録」への挑戦でした。

「皆が抱えていたモヤモヤの中身は、もう一度やりたい、何が問題だったのか見ておきたいという、“技術者としての意地”だったと思います。こうした課題にもう一度スポットライトを当てることができる目標があるのかと、自分の中では光が見えたような心境でした」(緑川)

緑川はすぐに、番組出演の際にもリーダーシップを発揮してくれていた亀井に、ギネス世界記録への挑戦を相談。亀井も「自信をもって送り出したPENTA-Xだったので、本当に悔しかった」ため即座に快諾し、他にもメカ担当の赤井 武志やエレキ担当の植野 剛といった、強みを持ったメンバーが再結集しました。対象としたギネス世界記録は、「一分間に最も多くロボットが縄跳びを跳んだ回数」です。現行の記録は奈良高専がNHKの「ロボコン」で記録した106回ですが、番組本番で宣言していた120回が跳べればこの記録を更新できると知り、まずはこのクリアを目標に、2022年3月5日を挑戦日に定めました。

難題の数々をクリアし、“人に優しいマシン”に結実

「PENTA-X」の改良にあたっては、開発時の知見を流用できるとはいえ、さまざまな困難に直面することになります。マシンのクオリティが上がりジャンプ回数が増えると、着地の衝撃やモーターの駆動時間の増加によるセンサー信号へのノイズが増え、誤動作が頻発したため、制御基板を一から作り変えました。着地の衝撃に耐えるための脚の素材変更、高速ジャンプに対応したソフトの設定変更なども行いました。

さらに問題だったのが人側の負荷でした。「1分間回すだけでも腕がパンパンになりますし、疲労感もあります。練習と休みのバランスを取りながら本番にコンディションを合わせていく、アスリートのような考え方が必要でした」(亀井)。

しかしながら、制作チームには、前回の失敗から得た知見やチームワークがありました。「跳躍回数を上げることにみんな快感を覚えていました。憑りつかれていました」(緑川)と語るほどチームみんなが設計や基板の改良、縄の回し手の熟練など、着々と準備を整え、気がつけば誰もが150回前後の記録が出せるように。まさに、当初の開発コンセプトに掲げていた「“誰でも速く、誰でも回せる” 人に優しいマシン」が完成していました。既にメンバーにとって本番は、実力を出し切りどこまで記録を伸ばせるか、自分たちとの戦いになる感触がありました。


一回でも多くを目指し「憑りつかれていた」と語るほどPENTA-Xの改良を行う

「熱い想い」「シュートを打たなければゴールは入らない」、プロジェクトで得たかけがえのない経験

こうして迎えた本番で「PENTA-X」は躍動。170回という想定以上のレコードを達成し、無事にギネス世界記録をクリアしました。二人はこの快挙の要因として、改良によりPENTA-Xのジャンプの安定感が増したこと、そして何よりもこのチームで臨めたことが大きなモチベーションになり、より高みを目指せた結果だと語ります。


いざ!勝負の時。

「私は今回28歳というチーム最年少にも関わらず、リーダーを任せていただきました。特別に秀でた知識や経験がないなかで何ができるかと常に悩みましたが、“熱い思い”だけは負けないように、みんなと一緒に進んでいこうと考えていました。今回のプロジェクトは通常の業務と違い、短期決戦で明確なクリア目標が求められました。その点でいつもとは違った動きや、幅広い知見が求められたといえます。リーダーとして常にいろんな不安を抱えていましたが、周りの支えもあったからこそ、やり切ることができました。出身部署もさまざまなチームをまとめたことは貴重な財産です。今後はこの経験を活かして、さらにやりたいことに挑戦していこうと考えています」(亀井)

「ギネス世界記録への挑戦では、時に「本当にできるのか」と言われることもありました。終わってみると高い目標を掲げたからこそ原動力が生まれましたし、何事も諦めない大切さを実感しています。シュートを打たなければゴールは入らない。跳ね返ってきても検証できるのです。設計者目線で言えば難題を解決する過程で、広い視野を持てばリコー内部でもまだまだ斬新なものづくりができる可能性を感じています。設計として加わりましたが、最後は枠を超えて色んなことをしていました。今回の私たちの挑戦に触発されて、「次は自分も」という人が増えてくれたらとてもうれしいですね」(緑川)


「PENTA-X」を開発した技術者(左から、植野 剛、亀井 謙二、緑川 瑠樹、赤井 武志、北川 岳寿)

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