リコー 「充電のない世界」の実現へ、第二弾 曲がる環境発電デバイスのサンプル提供
~リコーと九州大学が共同開発した薄型・軽量・フィルム形状の有機薄膜太陽電池(OPV)~
*本研究開発はJST「研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)産学共同(本格型)」「有機エナジーハーベスティングデバイスの機能革新と実用化技術開発」の支援を受けて行っております。

開発したフレキシブル環境発電デバイスの外観

フレキシブル電源基板との接続例

フレキシブル環境発電デバイスが目指す充電のない世界のイメージ
■九州大学 稲盛フロンティア研究センター 安田琢麿 教授のコメント 我々の生活環境に必ず介在する「身近な光」を高度に利活用する環境発電(エネルギーハーベスティング)は、これからのIoT社会を支える未来志向のエネルギー技術です。我々とリコーは、この環境発電の研究に先駆けて取り組んできました。約8年余に渡る共同研究が実を結び、その技術がいま社会に活用展開されようとしています。リコーと共同開発した有機材料は従来の太陽電池とは異なり、室内環境でも優れた発電性能を発揮します。この材料技術に基づいて開発されたフレキシブル環境発電デバイスは、紙のように薄く、軽く、曲げることも可能で、微弱な光さえあればいつでもどこでも永続的に発電できることから、我々の身の回りのさまざまな小型電子機器の分散自立電源として幅広く実装されていくものと期待しています。また、この新しいエネルギー技術は、SDGsに掲げられている「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」の達成にも大きく貢献するものであると信じています。今後もA-STEP産学共同プロジェクトを通して、未来社会に資するエネルギーハーベスティング技術のさらなる研究開発を産官学連携体制で推進していきます。 ■株式会社リコー RICOH Futures BU EH事業センター 所長 田中哲也のコメント 私たちの実現させたい未来は「充電のない世界」をつくることです。人が意識的に「充電」という行為をする必要がない世界、「電池交換」という行為をする必要がない世界を実現させたいと考えています。 すべてのモノがインターネットにつながるIoT社会では、モノに取り付けられた各種センサーの情報をインターネット経由で収集し、モノの状態や位置などを把握することにより、快適な生活を可能にします。今後、さまざまなモノへのセンサー搭載拡大が予想されるなかで、それらのセンサーを常時稼働させる自立型電源として、身のまわりにある光や熱、振動などから発電するエネルギーハーベスト(環境発電)が注目されています。 リコーは持続可能な社会の実現に向けて、これまで固体型色素増感太陽電池(DSSC)を上市し、今回、有機薄膜太陽電池(OPV)のサンプル提供に至りました。屋外・宇宙用途向けのペロブスカイト太陽電池の開発にも取り組んでおり、今後もクリーンエネルギーの普及による環境負荷低減に向けて、自立型電源としての活用用途を拡大させていくことで、事業を通じた社会課題の解決に貢献してまいります。 ■フレキシブル環境発電デバイスの主な特徴と仕様について 主な特徴-
- 発電効率の向上と高耐久化の実現
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- 広い照度域における高い変換効率
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- 高照度環境下における高い耐久性
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- 部分陰による影響が少ない遮光特性
使用環境 (照度) |
最大出力 (Pmax)min. | 最大出力動作電圧 (Vpmax)typ. | 最大出力動作電流 (Ipmax)typ. |
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200lx | 84µW | 3.3V | 25µA |
10,000lx | 4,200µW | 3.6V | 1,200µA |
- *最大出力(Pmax):取り出せる電力の最大値
- *最大出力動作電圧(Vpmax):電力が最大となる電圧値
- *最大出力動作電流(Ipmax):電力が最大となる電流値